ぜん息は、子どもがよくかかる慢性的な病気のひとつです。
15歳未満の子どものうち、約10%にぜん息症状があるといわれています。
ぜん息は一度発症すると長期にわたり、薬を中心とした治療が必要になります。
『ぜん息があるからできない』と思いがちなことも、健康な子どもと同じように安心して『できる』にするためのぜん息との向き合い方を紹介します。
ぜん息とは、気道に慢性的な炎症が起こり、呼吸が苦しくなる発作(ぜん息発作)をくり返す病気です。
ぜん息では、煙やほこりなどの刺激に過敏に反応し、気道(空気の通り道)が狭くなります。そのため、咳や喘鳴(ぜんめい:呼吸時にゼーゼーヒューヒューという音がする)、呼吸困難などの症状が現れます。
ぜん息の放置や治療の中断により発作をくり返すと、気道で炎症と修復がくり返され壁が厚くなり、気道が狭くなることに。一度厚くなった壁は元に戻りません。これを「リモデリング」といいます。リモデリングが起こると薬が効きにくくなり、ぜん息が重症化する恐れがあるため、症状のない状態を保つことが重要です。

ぜん息治療の短期的な目標は、子どもの生活の質(QOL)が改善され、健康な子どもと同じような生活を送ることです。症状をコントロールし、呼吸機能が正常に近づくように治療を進めます。最終的には服薬などの治療をしていなくても症状がない状態を目指します。
薬物療法で使用される薬は、管理薬と発作治療薬の2つに大別されます。
・管理薬
気道の炎症を抑え、発作を予防するための薬です。症状がないときでも継続して服薬することが重要で、中断すると発作時に症状が悪化する可能性があります。服薬忘れを防ぐため、薬を目のつく場所に置く、アラームを設定するなど、続けやすい工夫をしましょう。
・発作治療薬
発作時に呼吸を楽にするための薬です。子どもひとりでも薬を使用できるよう一緒に練習しましょう。もし不安がある場合は、学校や保育所の先生と使用するタイミングや方法を共有しておくと安心です。また、いつ発作が起こっても対応できるように、子どもが外出する際は薬をもっているか確認しましょう。

ぜん息をもつ子どもは、そうでない子どもと比較して気道が敏感で、身近な刺激にも過敏に反応しやすい傾向があります。ぜん息による日常生活の制限をできるだけなくすためには、発作の原因を避け、体力をつける必要があります。
ぜん息発作の原因となる刺激は、生活環境の中に数多くあります。そのため、生活環境の調整は、薬物療法と並んで発作の予防において非常に重要です。
| 刺激になるもの | 作用 | 対策 |
| タバコ | ・タバコの煙や服などについた臭いは、気管を刺激し発作を誘発する
・薬の効果を減弱させる |
・家族に喫煙者がいる場合は禁煙する |
| 花火
線香 キャンプファイヤー |
煙が気管を刺激し発作を誘発する | ・風上に立つ
・口元をタオルやマスクで覆う |
| ダニ
(チリダニ) |
・チリダニの糞や死骸が刺激になるぜん息患者もいる | ・絨毯や布製ソファーはできるだけ置かない。置く場合はこまめに掃除機をかける
・布団は乾燥機や天日干しし乾燥させる。シーツやまくらカバーはこまめに洗う ・窓を開けて換気し、部屋の温度と湿度を下げる ・ぬいぐるみは置かないことが望ましいが、難しい場合はこまめに洗う |
| ペット
(犬や猫など) |
毛やフケ、唾液や尿が刺激となる可能性がある | ・すでに飼っている場合は手放す、または屋外で飼うことを検討する
・定期的に洗う |
| 感染症 | RSウイルスやインフルエンザウイルスなどに感染すると気道に炎症を起こすため、発作を誘発する | ・手洗い、うがいを徹底する
・流行時期は人混みを避ける ・予防ワクチンを接種する |
この他にも、学校生活ではチョークの粉や運動用マット、掃除などが発作の原因になる可能性があります。日常生活においてすべての原因を取り除くことは難しいですが、できる限り避けるよう心掛けましょう。
運動は、ぜん息発作の要因になることがありますが、子どもの体力維持や肥満の防止、心身の発育のために必要なことです。なにより、体力をつけることはぜん息発作の予防につながります。
運動前に十分な準備体操を行うこと、予防的に発作治療薬を服用することは、ぜん息の予防に有効とされています。また、冬の冷たく乾燥した空気はぜん息発作を誘発します。マスクを着用し、こまめに水分を取りましょう。
子どもが安全に過ごせるように、また保護者が安心して子どもを預けられるように、学校や保育所と連携を取りましょう。多くの施設では子どもの病状や発作時の対応方法、生活上の留意点などを共有するための書類(生活管理指導表)を準備しています。書類をもらい、医師に記載を依頼しましょう。
また、学校や保育所でぜん息発作を起こした場合、どのような状況だったか教えてもらえるよう依頼しましょう。周囲の環境や動作など、子どもにとってなにが刺激になるのか情報を得るよい機会です。受診の際、医師に共有し治療につなげていきましょう。
ぜん息は気道の炎症を繰り返す慢性的な病気です。一度なると長期的な管理が必要ですが、薬物治療を中心に発作の原因をできるだけ取り除き、体力をつけていくことで多くの子どもたちは制限なく日常生活を送れます。ぜん息があっても安全に、安心して過ごせるように日常生活を工夫し、ぜん息と向き合っていきましょう。
著者:金城まい子
看護師
参考:
・Toyama Medical Journal Vol. 34 No. 1 2023 総説 小児気管支喘息の管理における過去40年間の変遷
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