せっかく用意した離乳食。赤ちゃんが食べてくれなくて、ママが泣きたくなることはありませんか?赤ちゃんが食べてくれない理由はさまざまですが、工夫次第で食べるようになることも。
ここでは離乳食の時期別に、離乳食を食べてくれない原因と赤ちゃんが楽しく食べられる工夫についてご紹介します。
赤ちゃんが離乳食を食べてくれないことはよくあることです。原因は赤ちゃんの成長段階によって異なります。ごっくん期、もぐもぐ期、かみかみ期に分けてみていきましょう。
離乳食ごっくん期は、生後5~6か月頃をいいます。口を閉じてごっくんと食べ物を飲み込む練習をする時期です。
この時期は母乳やミルクのみで育った赤ちゃんにとって、離乳食は初めて口にするものばかり。離乳食を食べてくれないときな、じっくり赤ちゃんの様子を観察してみましょう。
赤ちゃんが離乳食を食べてくれない原因として、開始時期が早いことが考えられます。スプーンを口に入れると舌で押し出す、そもそも食べ物に興味がなさそうということはありませんか?
離乳食の調理形態がなめらかでない、粒が残っていると赤ちゃんはうまくごっくんできないことがあります。
また、赤ちゃんを支えてあげても座れない、首のすわりがしっかりしていない場合も、離乳食開始の時期が早くて食べない原因になります。
離乳食もぐもぐ期は、生後7~8か月頃をいいます。離乳食に慣れてきて、食事のリズムをつけていく時期です。食品によっては家族の食事から離乳食用に取り分けることもできますね。
この時期の赤ちゃんが離乳食を食べてくれない原因は、食材の舌触りが赤ちゃんに合っていないことが考えられます。食材が大きいことや固い、野菜の繊維が残って食べにくい、パサパサしているなどが原因で、べーっと吐き出してしまうことがあります。
また、足が床につかない椅子に座らせていると、アゴに力が入りにくいため、うまくもぐもぐできなくて飲み込めないことも。
離乳食かみかみ期は、生後9~11か月頃をいいます。赤ちゃんの離乳食を食べる量が増え、1日3食に進めていく時期です。家族一緒に楽しく食べられる反面、この時期ならではの悩みも出てくるころ。
赤ちゃんは舌触りのよくないパサパサ、バラバラしているものは苦手で嫌がることがあります。
また、体を動かす機会が少なくてお腹がすいていない、大人に合わせて夜遅い食事だと朝ごはんを食べないという場合も。
食べる姿勢も食事の量に影響します。足が床につかない椅子に座っての食事は、アゴや舌に力が入りにくいこともあります。
生後5~6か月は母乳・ミルク以外の食べ物に慣れる時期です。初めての食材は無理に進める必要はありません。この時期は、離乳食を飲み込むこと、舌触りや味に慣れることが目的です。次にあげるいくつかのコツを試してみるとよいですね。
■スプーンの形の見直し
スプーンが赤ちゃんの口に合っていないかもしれません。赤ちゃんの口の幅よりも狭いものを選びましょう。
■スプーンの入れ方のコツ
赤ちゃんの口の奥に入れすぎたり、上あごにこすりつけないようにします。
口を閉じたら「まっすぐに」スプーンを引きます。
■離乳食の大きさ、固さ、とろみの見直し
舌触りがなめらかでないと、赤ちゃんは嫌がります。月齢に合った大きさ、固さ、とろみの見本として、市販の離乳食を試してみるのもひとつの方法です。
■赤ちゃんの体調をチェック
赤ちゃんの体調がよいとき、ご機嫌のときにチャレンジしましょう。
■姿勢のチェック
膝の上に抱っこした赤ちゃんの姿勢を、少し後ろに傾けると食べさせやすくなります。
生後7~8か月になると、離乳食を舌でつぶして食べられるようになります。
食品の種類を増やしていろいろ試してみる時期ですが、無理じいをしないようにしましょう。
■離乳食の大きさ、固さ、とろみの見直し
パサパサした口当たりは赤ちゃんにとってはは食べにくいもの。とろみをつけて食べやすくしてあげましょう。
■時間を決めたお食事タイム
1日2回、時間を決めて食事のリズムをつけるようにします。大人の生活リズムに合わせて、夜遅い離乳食タイムにならないようにしましょう。
■姿勢のチェック
赤ちゃんが安定した姿勢で座っていることも、もぐもぐさせて飲み込むためには大事なことです。床に足がついていないとあごに力が入りにくいため、赤ちゃんの足がしっかり床や椅子の補助板につくように調整するといいですね。
また、体が斜めになるときは、タオルなどを椅子の背に置いて、食べやすそうな角度を探してあげましょう。
生後9~11か月になると、離乳食を歯ぐきでつぶして食べられるようになります。
この時期になると、「自分で食べたい」という意欲が出てきます。遊び食べをすることも。
■離乳食の大きさ、固さ、とろみの見直し
パサパサ、バラバラしていると赤ちゃんは食べにくいです。肉、魚は片栗粉をまぶすと水分や旨味が閉じ込められ、口当たりがよくなります。野菜の煮物など、水分があって食材がバラバラしているものは、調理時に水溶き片栗粉でとろみをつけると食べやすくなります。
■時間を決めたお食事タイム
しっかり体を動かし、空腹の状態をつくるようにします。1日3回の食事のリズムにしていきましょう。
■手づかみ食べにチャレンジ
もしママやパパが毎回あーんして食べさせているのであれば、手づかみ食べをさせてみましょう。手づかみ食べは「目で見て→つまんで→口まで運ぶ」という目と手と口の協調運動です。コップ飲みの練習にもつながります。
■遊び食べをする場合
食事の時間は30分を目安にし、切り上げるようにします。離乳食をあらかじめ少なめに盛り付けるのもひとつの方法です。
■姿勢のチェック
しっかり噛むためには、アゴや舌の力が必要です。よく噛めていないようなら、足が床や補助板にしっかりついていないかもしれません。丈夫な箱などを利用して調整してあげましょう。
赤ちゃんの月齢ごとの食べ方はあくまでも目安です。昨日、一週間前、一か月前と赤ちゃんの成長の姿を比べて食べ方を見てみましょう。
機嫌よく食べていたら「その量」が「その子の量」です。成長の目安は「成長曲線」で確認していくとよいです。
離乳食は大変!食べてくれない!という悩みも、赤ちゃんの一生の中ではほんの一部の時期です。
目の前の赤ちゃんの成長を見ながら、離乳食の時間を楽しんでもらえるとうれしいです。
参考:
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド2019年3月」
「歯科関係者のために食育支援ガイド2019」
日本小児歯科学会「食育」推進についての日本小児歯科学会からの提言
「授乳・離乳の支援ガイドにそった離乳食」小野友紀著 芽ばえ社
管理栄養士・健康運動指導士としてフリーランスで活動。特定保健指導では生活習慣病予防アドバイスを、また自治体の離乳食教室のアシスタントをしています。
介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。2人の息子も大人になり今は愛鳥のオカメインコ、文鳥と仲良く過ごしています。