赤ちゃんが薬を飲んでくれずに苦労していませんか?赤ちゃんに上手に薬を飲ませる方法はいろいろありますが、薬の種類によっては逆効果になることもあります。薬の種類や場面別に、赤ちゃんに上手に薬を飲ませる方法を解説します。
薬は、医師の指示通り使うことで、期待する効果を発揮します。しかし、赤ちゃんは薬を飲む意味を理解できませんし、苦味、臭い、ざらつきなどが嫌で、薬を飲んでくれないことも多いのではないでしょうか。
実際に、ある製菓会社が実施した1〜10 歳の子どもの親へのアンケートによると、71%の親が「服薬を嫌がられた経験がある」と回答しています。
薬を飲みたくない赤ちゃんと、薬を飲ませないといけないママ・パパ、どちらにとっても薬の時間はストレスになりますね。
どうしたら赤ちゃんに上手に薬を飲ませられるのでしょうか。
赤ちゃんに処方される機会が多いのが、水薬と粉薬です。水薬は水に溶かした薬で、糖を加えたシロップもその1つです。苦味が隠せる、液体で飲みやすいという特徴があります。粉薬は粉状の薬で、体への吸収が早く、ほかの薬と混ぜられるのが特徴です。どちらも体重や年齢に合わせて量が変えられます。水薬と粉薬の上手な飲ませ方と注意すべきポイントはどのようなものでしょうか。
水薬を飲ませるときは、むせないよう赤ちゃんの上半身を起こしましょう。吐きだしてしまうこともあるので、1回量の薬をスプーンやスポイトにとって頬の内側に流し込みます。
ビンに直接を付けて飲ませると1回量を正確に測れないだけでなく、ビンを汚染させてしまいます。ビンから直接は飲ませないようにしましょう。
スプーンやスポイトで飲めない場合は、水薬をカップにとって水で薄めたり、砂糖を加えたり、ジュースなどに混ぜたりして飲ませます。混ぜるものの注意点については、こちらへ。
水薬はカビが生えやすいので、ビンは冷蔵庫で保管しましょう。
粉薬は通常、水や湯冷まし(沸騰したお湯を冷ましたもの)と一緒に飲みます。飲めない場合は下記の方法を試してみましょう。
1回量を少量の水で練ってペースト状にして、上あごの内側や頬の裏側に貼り付け、あらかじめ用意しておいた湯冷ましで素早く飲ませます。
・水や湯冷ましに溶かす
粉薬を水や湯冷ましで溶かしたものを飲ませ、赤ちゃんの好きな飲み物や食べ物を与えましょう。
冷たい食べ物は味覚を鈍くするので、粉薬の味を感じにくくなります。とくにチョコレートは薬の苦味を感じにくくするため、チョコレート味のものを選ぶのがおすすめです。
単シロップは薬の苦味をかくすことができ、中性なので粉薬の表面のコーティングをはがして苦味も出すことも少ないです。単シロップを手に入れるには医師の処方せんが必要です。診察の際に医師に相談しましょう。
生後7〜8ヵ月以降であれば使うことができます。いろいろな味が発売されているので、赤ちゃんの好みに合わせて選ぶことができます。
薬の種類に合わせた飲ませ方を紹介しましたが、薬に混ぜる飲み物や食べ物の選び方にはいくつか注意ポイントがあります。
オレンジジュース、スポーツドリンク、柑橘類など、酸性の飲み物や粉薬酸性の飲み物や食べ物と薬は混ぜないようにしましょう。薬の表面のコーティングがはがれたり、薬によっては効果が弱めたりすることもあるので注意が必要です。
ミルク嫌いになることがあるので避けましょう。
1歳未満では、はちみつの使用は厳禁です。1歳未満ではちみつを食べると「乳児ボツリヌス症」になるリスクがあり、赤ちゃんの成長・発達に悪影響を及ぼすことや、稀に命に関わることもあります。
混ぜたり薄めたりしたまま放置すると、苦味が出たり、薬の効果が落ちたりします。飲む直前に1回分だけ調整しましょう。
味が変わったり、薬効が変わったり、何と混ぜるとどんな変化が起こるかは、薬によって違います。混ぜる場合は薬剤師や医師に確認するとよいでしょう。
薬を処方されても指示どおりに飲めない、飲めても吐いてしまうという場合もあるでしょう。そのような場合はどうしたらよいのでしょうか。
服用直後に薬を全部吐いた場合は、もう一度、薬を1回量飲ませます。30分以上経って吐いた場合は、すでに体に吸収されているので、もう1度飲まなくてもよいと考えられています。
薬は決まった回数飲むことで十分な効果を発揮します。飲み忘れに気づいたらすぐに飲ませましょう。ただし、忘れたからといって一度に2回分を飲ませないでください。
また、食事が取れなかったために服薬を飛ばすべきか迷うことがあるかもしれませんが、食事がとれなくても薬は飲ませるのが原則です。
服用時間は医師の指示に従うのが原則ですが、その時間が合わずに、どうしても飲み忘れが多くなってしまうこともあるかと思います。そういう場合は、服用時間を変えられるか、医師や薬剤師に確認するとよいでしょう。
ママ・パパが子どもの病気や薬の正しい知識を持っているほど、服薬状況が良くなる、という研究結果も出ています。ぜひ、赤ちゃんの服薬について正しい知識を身につけましょう。
わからないこともあると思います。そんなときは、小さなことでも医師や薬剤師に相談しましょう。
著者:細田雅之
製薬企業に10年余り勤務の後、薬局、製薬企業宣材プロダクション、医療系メディア編集を経験。正しい医学情報の提供をサポートしたいと考えている。趣味はハワイ。渡航歴は数えないことにしている。
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