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管理栄養士解説|妊活中から葉酸を摂ろう!摂るべき理由と摂り方のコツを解説

妊娠前からの摂取が大切だといわれる葉酸。なんとなく聞いたことはあっても、妊活中から勧められるハッキリした理由はわからない、という方も多いですよね。そこで今回は、妊活中の葉酸摂取が欠かせない理由と摂り方のポイントを、管理栄養士が解説します。

妊娠前からの葉酸摂取が大切な理由とは?

妊活中から葉酸を摂るのが肝心だといわれる理由は、赤ちゃんに起こりうる「神経管閉鎖障害」のリスクを減らすためです。

神経管閉鎖障害とは、赤ちゃんの先天異常のひとつ。赤ちゃんの脳や脊髄の元になる神経管が正常に形成されない障害です。神経管閉鎖障害には、「無脳症」「二分脊椎」「髄膜瘤」など、さまざまな疾患があります。

神経管が作られる時期にお母さんが葉酸を十分に摂ると、赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防ぎやすくなることが知られています。

いつから葉酸を摂ればよい?

厚生労働省によると、神経管閉鎖障害を予防するためには「妊娠1ヶ月以上前~妊娠3ヶ月」の積極的な葉酸摂取が勧められています。

赤ちゃんの神経管が完成する時期は、妊娠4~7週ごろといわれています。

しかし、妊娠に気づいたときには、すでにその時期を過ぎている場合も少なくありません。

なぜなら、一般的な妊娠検査薬で陽性が出るタイミングが妊娠5週目以降だからです。

そのため、神経管閉鎖障害を予防するには、妊活をスタートした時点から葉酸を意識的に摂ることが大切だといえるでしょう。

妊活中に推奨される葉酸の摂取量

それでは実際に、妊活中には葉酸をどのくらい摂るとよいのでしょうか?具体的に解説します。

食事とは別にサプリメントなどを併用しよう!

葉酸の推奨量は、18歳以上の女性で1日あたり240μgです。

妊活中の場合、240μgに加えて、400μgの葉酸をサプリメントなどの栄養補助食品から摂ることが推奨されています。

毎回の食事とは別に、サプリメントなども活用しながら、葉酸をしっかりと摂るようにしましょう。

 

妊活中の男性も葉酸が大切?

「赤ちゃんの神経管閉鎖障害を予防する」という観点では、パートナーの男性に葉酸サプリメントを摂ってもらう必要はありません。

しかし、葉酸はDNA合成や赤血球の生成にかかわる栄養素であり、貧血や動脈硬化の予防効果が期待できます。それを踏まえると、「自分自身の健康を維持する」という意味において、性別問わず重要な栄養素といえるでしょう。

葉酸は通常の食生活であれば、過不足を心配しすぎる必要はありませんが、栄養バランスの偏った食事では要注意。
妊活中にはパートナーにも、葉酸が豊富な食材を日頃からバランスよく食べてもらうよう意識してもらいましょう。

どうやって摂ればいい?葉酸の摂り方のコツ

食事からしっかりと葉酸を摂るコツと、サプリメントから葉酸を摂るときの注意点を解説します。

葉酸が豊富な食材を取り入れよう

一例にはなりますが、以下の食材に葉酸が比較的豊富に含まれます。

・葉物野菜(ほうれん草・なばな・春菊・モロヘイヤなど)
・アスパラガス
・ブロッコリー
・いちご
・ライチ
・アボカド
・枝豆

これらの食材を普段あまり食べる機会のない方は、いつもの食事に積極的に取り入れてみましょう。

また、葉酸はビタミンB群のひとつであり、水に溶けやすい性質を持ちます。葉酸をムダなく摂るには、生食できる食材は生のまま食べるのがおすすめです。調理する場合は、茹でるより蒸すようにしたり、スープなど汁ごと摂れる料理にしたりするのもよいでしょう。

サプリメントの摂りすぎには気をつけて!

サプリメントなどの栄養補助食品は「摂れば摂るほどよい」というわけではありません。

食事からの葉酸摂取量には上限量が定められていませんが、サプリメントなどからの葉酸摂取量には上限量が決められています。成人女性であれば、30歳~64歳は1日1000μg、それ以外の年代では1日900μgが上限量です。
上限量を超えるほど大量に摂取した場合、体内でビタミンB12が欠乏して起こる「悪性貧血」などを発症するおそれがあります。

前述の通り、妊活中における栄養補助食品からの葉酸の推奨量は400μgです。選ぶ栄養補助食品の種類によって葉酸の含有量は異なるため、かならずチェックしてから利用するようにしましょう。

また、「栄養補助食品を摂っていれば、食事からの葉酸摂取を気にしなくていい」というわけでもありません。サプリメントばかりに頼ると、食事から摂れるはずのほかの栄養素を摂れず、栄養のかたよりにつながるおそれがあるためです。

サプリメントは補助的なものとして考え、日頃の食事からも十分に葉酸を摂るように意識しましょう。

赤ちゃんのためにも、適切な葉酸摂取を!

神経管閉鎖障害が起こる原因には、さまざまな可能性が考えられます。そのため、お母さんが葉酸を摂れば、かならず神経管閉鎖障害を防げるとは断言できません。

しかし、発症リスクをできる限り減らすには、食事やサプリメントから葉酸を摂ることが重要です。赤ちゃんの健康のためにも、妊活中から積極的に葉酸を取り入れることを心がけましょう。

著者:藤倉詩織

管理栄養士。大学卒業後は健診センターにて、栄養指導・特定保健指導を経験。結婚を機にフリーランスとなり、アプリでの食事アドバイスや栄養相談に携わる。現在は食・栄養・健康に関する記事執筆を中心に活動中。

参考:

厚生労働省 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~解説要領

厚生労働省 e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

厚生労働省 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について

・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

・公益社団法人 日本産科婦人科学会、公益社団法人 日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020