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子どもの心電図に異常が見つかったときに親としてできること

子どもの心電図に異常が見つかり、不安を感じる親御さんも多いのではないでしょうか。子どもの心電図異常は、様子見でよいこともあれば治療が必要なこともあります。
子どもに多いとされる心電図異常や、日常生活で気を付けたいことについてお伝えします。

心電図検査とは

心電図は心臓の電気信号を記録したもので、不整脈の有無や心臓の大きさ、心臓の特定の部分に異常がないかを見る検査です。
心臓は全身に血液を送るために、ポンプのように収縮と拡張を繰り返しています。心臓が収縮すると通常決まった順番で電気信号が流れ、波形として心電図にあらわれるのです。
心電図波形には、主にP波、QRS波、T波と呼ばれる部分があり、それぞれの波形が心臓の動きを反映しています。

正常な順番で電気信号が流れなかったり、リズムが一定でなかったり、心臓の特定の部分に異常があったりすると、不整脈や波形異常としてあらわれ、心電図異常と判定されるのです。

学校での心電図検査の意味

学校で行われる心臓検診は、突然死につながる危険な不整脈や心臓の病気の早期発見を目的として実施されています。現在、小学校、中学校、高校の各1年生に対して心電図検査が義務付けられています。この中で、心電図異常と判定される確率は2~3%です。
治療が必要となるような危険な不整脈は、運動が引き金となって起こることがあります。学校では体育や部活動などで激しい運動をする機会が多いため、子どもたちが安全に運動できるように事前に心臓の状態を把握しておく必要があるのです。
学校での心電図検査で異常を指摘されても経過観察となる場合もあり、必ずしも治療が必要になるとは限りません。
再検査になっても焦らず精密検査を受け、これからの生活を安心して送れるように対策しましょう。

 

気を付けたい子どもの心電図異常とは

子どもが心電図で異常を指摘されても、日常生活には支障がないこともあります。しかし、心電図異常の中には注意すべきものもあります。

WPW症候群

WPW症候群は、心臓の電気信号が通常とは異なる経路(副伝導路)を通ることで不整脈が発生しやすくなる状態のことです。WPW症候群というだけであれば、症状はなく問題にはなりません。しかし、動悸や失神を伴う不整脈を起こす場合は、治療が必要です。
子どもは成人と比べて、WPW症候群による不整脈を起こす確率は低いですが、まれに致死的な不整脈を起こし死亡する事例もあります。とくに、中学生や高校生のような成長期の子どもは、部活動での激しい運動によって不整脈が起こることもあり、注意しておきたい心電図異常のひとつです。

QT延長症候群

QT延長症候群は、心電図波形のQ波~T波の間隔が正常よりも延長することで、失神や突然死の原因となる不整脈を引き起こす病気です。QT延長症候群は遺伝性疾患であるため、家族や親族に突然死や失神などの症状がある人がいれば、前もって心臓検診調査票に記載しておくとよいでしょう。

QT延長症候群が学校の心臓検診で発見される確率は0.006%とまれですが、年間に1~2例の死亡例が報告されています。

QT延長症候群では、運動やストレスによって致死的な不整脈が起こるリスクが高まります。運動制限や治療の必要性を、専門の医療機関で判断してもらう必要がある心電図異常です。

多発性心室性期外収縮・心室頻拍

心室性期外収縮は、通常とは異なる場所から発生する電気信号によって、心拍のリズムが乱れる不整脈のひとつです。健康な人でも心室性期外収縮は起こることがあり、頻度が少なければ通常問題ありません。
しかし、以下の場合は危険な不整脈に移行して、突然死の原因にもなるため注意が必要です。

  • 心室性期外収縮が多発している場合(多発性心室期外収縮)
  • 心室性期外収縮がいくつかの異なる場所から出現している場合(多源性心室性期外収縮)
  • 連発する場合(心室頻拍)

学校管理下では、数年に1例の割合で心室性期外収縮が原因による突然死が報告されています。

子どもに心電図異常が見つかったときの日常生活での注意点

子どもに心電図異常が見つかったとき「親としてできることはないのか」と不安や焦りを感じることもあるでしょう。

ここでは、子どもが安心して生活するための日常生活での注意点を解説します。

学校生活で気を付けること

検診で心電図異常が見つかった場合、運動への注意が必要になる場合があります。運動は、危険な不整脈が起きるきっかけとなり、体育の授業や部活動への参加は制限されることもあるでしょう。

どの程度の制限になるのかは、症状や状態に合わせて医師が決めます。最終的な診断がついていない状態でも、おおまかな指標が出される場合もあります。心電図に異常がある場合、症状や心臓の状態によっては、医師の判断に基づいて学校生活を送る必要があることを知っておきましょう。

家庭で気を付けること

子どもが心電図異常といわれたら、動悸やめまい、胸の痛みなどの症状が出ていないか注意して見てあげましょう。

子どもは、症状があってもうまく言葉で伝えられないことがあります。

「息が苦しそう」「胸が痛いと手でおさえている」といった、不整脈による症状のサインを見逃さず、適切に病院を受診できるよう見守りましょう。

子どもが心電図で引っかかっても焦らず再検査を受けよう

子どもが学校での検診で心電図異常を指摘されても、動悸や失神といった症状がなければ過度に心配する必要はありません。学校での心電図検査は、病気を早期発見し受診につなげることが目的です。

まずは、専門の病院で再検査を受け、子どもが安心して日常生活を送れるよう見守りましょう。

著者:原田 瑞季

大学院卒業後、臨床検査技師として一般病院にて勤務。エコーや心電図検査を中心に、さまざまな検査を担当。現在は2児の子育てに奮闘しながら、医療ライターとして活動中。趣味は、子どもとのピクニックと韓国料理を食べること。

参考:

学校心臓検診、1,心臓検診の目的より|日本小児循環器学会

2016年版学校心臓検診のガイドライン|日本循環器学会/日本小児循環器学会

令和4年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)確定値、令和4年度学校保健統計 調査結果のポイント 表の数値より|文部科学省

学校検診でWPW症候群と言われました。どういう病気でなにか治療をしなければならないのでしょうか?|国立循環器病研究センター

2016年版学校心臓検診のガイドライン|日本循環器学会/日本小児循環器学会

QT延長症候群、概要、疫学より|小児慢性特定疾病情報センター

QT延長症候群、治療より|小児慢性特定疾病情報センター

多源性心室期外収縮|小児慢性特定疾病情報センター