子どもは風邪をひきやすいため、感染対策をしっかりしたいママ・パパも多いでしょう。しかし、子どもが小さいうちから感染対策を教えたいと思う一方で、ママ・パパもどう教えたらよいのか悩みがちです。
今回は、感染対策の一つである「うがい」について取り上げます。
ママ・パパは、子どもが風邪をひかないように、何か特別なことをしなくてはと不安になりがちです。しかし、基本的な感染対策は、子どもも大人と変わりません。
これらの感染対策のうち、子どもができるようになる時期や教え方がよくわからないのが「うがい」ではないでしょうか。
子どものうがいには明確な年齢制限がありません。もちろん、小さい子どもはすぐにうがいができないでしょう。最初から大人のように上手にうがいをすることはできないため、少しずつ練習を重ねてステップアップさせていくことが大切です。
うがいをするには、まず呼吸や口の中の機能が発達していることが重要になります。そのため、うがいの練習を始めるタイミングとしては、しっかり食べものを噛んで飲み込めるようになってからがよいでしょう。
うがいと聞くと、上を向いて行うイメージがあります。しかし、実はうがいには「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」の2種類が存在しますので、ここからは、2種類のうがいについて解説します。
歯みがきをしたあと、クチュクチュ口をすすぐ様子をイメージするとわかりやすいでしょう。水を口に含み、ほおを動かして口の中を洗ううがいになります。
ブクブクうがいには、子どもが水を飲みこんでしまわないこと、水を口から出せるようになることが必要です。最初はうまくできない子どもが多いため、お風呂で練習をすれば失敗して濡れても安心です。
また、家族がうがいをしている様子を見せて真似をしてもらうことで、子どもも楽しく練習できるでしょう。
一般的に、ブクブクうがいは3歳児で約50%、4歳児で約75%の子どもができるようになるといわれています。
うがいといえば、多くの人がのどのガラガラうがいを思い浮かべるでしょう。ガラガラうがいは、3歳児で約25%、4歳児で約50%、5歳児で約75%の子どもでできるようになるといわれています。割合から見ても、ブクブクうがいよりガラガラうがいのほうが難しいため、焦らず練習することが大切です。
この子どもがガラガラうがいを習得するために時間がかかる理由は、口や気管の発達が大きく影響します。
ガラガラうがいには、下記の3つの動作が必要です。
練習は段階を追って、焦らずできたことを褒めてあげながら練習を重ねましょう。
うがい薬も年齢制限についての記載はありません。ただし、うがいの練習を始めてすぐは水を飲みこんでしまうことも多いため、うがい薬はうがいができるようになってから使いましょう。
なお、うがいができるようになる前は、小まめに水分をとりのどの乾燥を防ぐことが感染対策となります。
市販のうがい薬には、ポピドンヨードとセチルピリジニウム塩化物水和物という成分の2種類があります。
昔から使われている「茶色い消毒剤」といえば、ポピドンヨードが思い浮かぶ人も多いでしょう。茶色(正しくは赤褐色)の正体は、昆布やワカメにも含まれるヨードです。
ポピドンヨードには強い殺菌効果があり、皮膚や粘膜の細菌やウイルスを直接攻撃します。独特のにおいや味がしますが、薄すぎても濃すぎても殺菌効果が得られないため、決められたとおりの濃度に薄めて使いましょう。最近は、あらかじめ適正濃度に調整されたうがい薬も販売されています。
なお、ヨードアレルギーや妊娠・授乳中の方は使えません。
ヨードのような独特のにおいや味がなく、子どもも使いやすいように、ピーチ味やアップル味など味つきのうがい薬が販売されています。また、無色透明なので子どもが容器の色合いに抵抗を示す心配もなく、洗面台も汚すこともありません。
その上、セチルピリジニウム塩化物水和物はヨードアレルギーの方も使用できます。
市販のうがい薬を子どものために購入するなら、セチルピリジニウム塩化物水和物がおすすめです。子どもが水を吐き出したりこぼしたりしたとき、ポピドンヨードの色が服や周囲に飛び散り、汚れることがあります。
また、ポピドンヨードのにおいや味を誤魔化すために水で薄めすぎてしまうと、期待する消毒効果が得られません。セチルピリジニウム塩化物水和物は無色透明で味もついているので、子どもも抵抗なくうがい液を口に入れてくれるでしょう。
目に見えない小さな細菌やウイルスから、子どもを守るためにも「手洗い・消毒・咳エチケット」が重要です。しかし、小さな子どもがうがいを上手にできるようになるまでには時間がかかります。離乳食と同じように少しずつ練習を重ね、子どもも正しいうがいができるようになれば、よりしっかり感染対策ができるようになるでしょう。
著者:月岡しのぶ
薬剤師として病院・薬局・治験・漢方薬局と経験。子どものアトピーやアレルギーをきっかけに自然療法も学ぶも、偏りすぎる親が気になり、多方向から病気や体のこと、子育てのことなどセミナーを開催中。
参考:
・国立成育医療センター 新型コロナウイルス感染症予防対策としての妊娠中、授乳中のヨウ素系うがい薬(ポビドンヨードうがい薬)の使用について